【あおい】

先日、あおいを出荷しました。

あおいは、2021年5月に薫る野牧場で生まれた牛です。

3歳半という若さでの出荷に、かわいそうというお声もあるかもしれませんが、日々あおいと向き合った結果の判断です。

あおいは妊娠できるようになるまでにしばらくかかりましたが、昨年11月に娘「みどり」を産み、元気に育ててくれました。

出産すると、毎日の搾乳が始まるのですが、あおいは搾乳場に入ることが大の苦手でした。

薫る野牧場で生まれた牛は、24時間365日放し飼いです。

妊娠が確認できたメス牛のみ、搾乳場とスタンチョン(保定するための柵)に入る練習をし、産後の搾乳がスムーズに開始できるよう準備します。

初めての出産で、パンパンに張って痛い乳房を人間に触られ、得体の知れない機械(搾乳機)を装着されることは、牛にとってはかなり恐怖で、人間や搾乳機を蹴り飛ばしてしまうことも珍しくありません。

※毎日山を歩いて鍛えられた強靭な足で蹴られると、それはそれは痛いです。

あおいも、他の牛と同じように練習を続けていたのですが、どうにもスタンチョンに入ることができないまま出産を迎え、初めての搾乳から2か月程はお互い緊張し、ストレスも大きかったと思います。

スタンチョンに入ることができず、常に動き回れる状態でしか搾乳できないため、乳房炎になってしまったら治療も難しい…と思っていた矢先、4つの乳房のうちの1つで乳房炎が見つかりました。

(治療の間は、体重300~400kgの巨体を動かないようにしておかないと、嫌がって暴れる牛を力で止めることはできません。

牛も人間も、お互いに危険です。)

幸い他3つの乳房は無事で、10か月間の搾乳は継続できたのですが、次回以降の出産とその後の搾乳を考えた時に、何かあっても保定できない=助けてあげられない可能性が高く、次の妊娠を諦め、出荷する判断をしました。

あおいがスタンチョンに入れなかったのには何かきっと理由があったはずですが、それを解消してあげられなかったことは、ただただ力不足で、申し訳なく思います。

あおいが生まれてくれたおかげで、母「あやめ」のお乳をいただくことができました。

あおいが生んでくれた娘「みどり」はすくすく成長し、もうすぐ1歳になります。

命を繋いでくれて、一緒に山づくりをしてくれて、美味しい牛乳を分けてくれて、ありがとう。

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