れもん

先日、れもんを出荷しました。
れもんは、5年前になかほら牧場(岩手県)から連れてきた5頭のうち、残った最後の1頭です。

たくさん草を食べて、山づくりを進めてくれました。
れもんの角、とっても立派でした。

実は当時から、乳房炎がありました。
乳房炎にも原因菌等の違いによりいろいろな種類があるのですが、れもんの場合は難治性で、感染力も強いものでした。
一般的に、酪農家さんや獣医さんからすれば、他の牛へ感染を拡げる前に牧場を去ってもらう判断が普通です。

薫る野牧場では牛の頭数が少ないため、1頭1頭のケアに時間を割くことができます。
れもんは、乳房炎と付き合いながら丁寧にケアを続け、美味しい牛乳を出してくれるようになりました。

2021年8月、さわを出産した直後。

しかしながら3年前、出産時に乳房が大きく張って垂れ下がり、自分の蹄で傷つけた箇所から細菌が入り、一度乳房炎が治まっても再発を繰り返すようになりました。
昨年の冬からさらに頻発するようになり、ケアが追い付かない状況になったことから、ここで引退してもらう判断をしました。

2022年9月、しおんを出産した直後。

実際に牧場へお越しになったり、SNS等でれもんのことを知ってくださっている方には、「かわいそうだ」と思われるかもしれません。
私は正直、乳房炎と付き合いながらここまで長く飼えるとは考えていませんでした。

日本で飼われる乳牛は、平均5年程度で出荷されることを考えると、れもんは薫る野牧場へ来てから5年以上、8歳と8か月の間とても頑張ってくれたと思っています。

山の草を、たくさん食べてくれてありがとう。
美味しい牛乳を、たくさん分けてくれてありがとう。
元気な子たちを産んでくれて、ありがとう。

雪積の日も、何度も乗り越えたね。
稲わらを食べるれもん。
これまでありがとう。
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