生後10ヵ月のたらぞう、8ヵ月のれもじろうを出荷しました。
お乳を出さない雄の牛、特にジャージー種を放牧していると、お肉は赤身で脂肪は黄色く、身体も大きくなりにくいことから、現在の市場で見るとかなり低い評価となり、安く取り引きされてしまうと聞きます。
肥育しても割に合わないとされ、生まれてすぐに安楽死を選択される場合もあるようです。
最近では「グラスフェッド(草で育った)ビーフ」という言葉が知られ始め、穀物飼料で育った牛と区別され、草由来の色素で黄色くなった脂肪には不飽和脂肪酸が多く含まれること、赤身で噛み応えのある肉質であることが、それを好む方々に選ばれるようになってきています。
薫る野牧場で生まれた2頭の雄は、大野山の草をおなかいっぱい食べ、よく運動しているため、まさにそのような肉質だと思います。
おやつに少し、地元のお米やさんからいただいた米ぬかと、てんさい糖の生産工程で出る残渣(ビートパルプ)を与えたのみです。
たらぞう、れもじろうの成長をSNS上で見てくださっていた皆さまの中には、かわいそうだというご意見もあるかもしれません。
ただ、一番近くで同じ時間を過ごしてきた私が、この子たちの命をいただき、また、美味しく食べていただける方のもとへお届けしたいという気持ちであることは、ご理解いただけると幸いです。
この牧場に生まれてくれて、
これまで元気に過ごしてくれて、
ありがとう。