牧場について

神奈川県西部に位置する丹沢山地のひとつ、大野山の山頂付近に、この牧場はあります。

一般に、牛を放牧する場合、平坦な牧草地が必要であり、国土面積の狭い日本では、その確保が難しいとされていますが、日本の面積の約3分の2を占める山林を放牧地として活用する「山地酪農」を実践する牧場です。

酪農業界において大規模化が推進されている中、少量生産の山地酪農はなかなか普及せず、日本で実践している牧場は数軒にとどまっているのが現状です。

その背景には、新規就農にかかる多額の設備投資、事例の少ない山地酪農に対する地元の受入れ体制など、さまざまな課題があります。

大きな問題として、一般的な酪農で生産された牛乳より、山地酪農で生産された牛乳は乳脂肪分が低く、現行の制度では農協での買取価格が安くなってしまうため、安定した収入に繋がらないことが挙げられます。

経営を持続させるために、自前での加工、販売により価値を付けることが求められ、それにかかる設備が必要になり、販売網の確保も自分で行うとすると、山地酪農を実践したいと考える人にとって大きな壁となり、行動に移す前に諦めてしまうことも少なくありません。

日本国内における山地酪農場のひとつ、岩手県岩泉町にある「なかほら牧場」で4年半働いた20代の女が、それを実現することができたら、

酪農の選択肢が増え、

山地酪農を実践する人が増えたら、

日本の山の管理の仕方が多様になり、

牛の力を借りることで人は山で生計を立てることができることが広まれば、

人の生き方が変わり、

日本の国土の3分の2を占める山林をより有効に活用していけるのではと考えています。

山地酪農の拡大によって、日本の酪農がより魅力的な産業になること、山林で人が暮らしていけること、人間が人間らしい生き方ができること、それが私たちの子どもや孫、その先の世代もずっと続けていけること、

それが私の夢であり、この牧場が成り立つ先に目指す未来です。

人も牛も、無理、無駄なく、限りなく自然のままに。